総合商社マンの目

総合商社に勤めてます。 東京在住。 趣味はスノーボードとサーフィン。

ファナックの白いロボット。 黄色でも緑でもないんだな

toyokeizai.net

 

仕事がら、ファナックはよく知っていましたが、次は白いロボットですか。

 

黄色いロボットでなじみが深いのですが、すごいですね。

 

なんせ収益モデルがけた違いに良い(今は少し昔に比べると下がったのかな)、待遇も良い、ということで、頭が良かったら入りたかった会社の一つです。。。

 

下記は東洋経済の転載です。

 

2020年から出荷を始めたファナックの「白いロボット」(記者撮影)
産業用ロボット世界4強の1角を占め、「黄色いロボット」で知られるファナックが、今年6月に「白いロボット」の出荷を始めた。
ファナックはこれまで自動車のプレスや溶接などで使われる大型の頑強な産業用ロボットで、シェアを獲得してきた。しかし、「CRXシリーズ」と名付けられたこの白いロボットは、安全柵を必要とせず人間と並んで作業ができる協働ロボットだ。
協働ロボットは産業用ロボットの導入が難しかった中小企業、食品やサービス産業など新領域での活用が期待されている。世界のロボットメーカーも相次いで参入している有望市場だ。「白いロボット」にはどのような狙いがあるのか。山口賢治社長に聞いた。

蓋を開ければ予想以上の引き合い

――白いロボット「CRXシリーズ」の売れ行きはどうでしょうか。

6月に出荷を開始したが、現在は生産が追いつかず顧客に待っていただいている状況だ。2019年12月に行われた国際ロボット展で初めて披露した際には非常に多くの顧客に興味をもっていただき、期待が高いというのは認識していた。蓋を開けてみると予想以上に引き合いが強い。

――そうすると、工場の設備増強も必要になるのでは?

すでに生産能力を2021年1月に現状の能力に比べて比1.5倍、2022年1月には同3倍へ増強する予定で進めており、それを少しでも前倒しできないか検討している。

山梨県忍野村にある本社地区だけでなく、茨城県筑波地区にも工場がある。建屋の大きさとしては(協働ロボット、産業用ロボット合わせて)毎月最大1万1000台の生産能力がある。CRXシリーズは持ち上げられる重さが10キログラムまでの比較的コンパクトなロボットなので、当面は今ある建屋の中に生産設備を入れて増産対応できる。

ただ将来的には(ロボットの生産台数は)月産1万1000台でも足りなくなる。新しい工場が必要となる時期も遠からず来るだろう。

――協働ロボットの需要が高まっている背景は何でしょうか。

従来型の安全柵を使う産業用ロボットを導入する場合には、(工場のレイアウトを)一から設計し直す必要があり、広いスペースも必要になる。

一方、協働ロボットは基本的には人の作業の置き換えで、一部分ずつだけでも自動化が可能なので敷居は低い。当社の工場でも2015年に発売した緑色のタイプの協働ロボットを実際に使っているが、レイアウトを大きく変更することなくロボットを段々と増やして生産効率を上げていける。

――協働ロボット市場はデンマークのユニバーサルロボットが先行し、他のロボットメーカーの参入も相次いでいます。どのようにシェアを獲得しますか。

正確な統計がないので、市場で言われていることだが、安全柵の中で使われる従来の産業用ロボットは当社が(世界)シェア1位だと言われている。協働ロボットについても商品の魅力を高めていき、お客様に(競合メーカーに対する)当社のロボットの優位性を理解いただいて、同じようにシェア1位を目指したいと思っている。

やまぐち・けんじ/1993年東京大学大学院修了、ファナック入社。2007年本社工場長、2008年専務、2012年副社長、2016年社長兼COO、2019年4月から社長兼CEO。

ただ、シェアは結果だと思っていて、採算に合わないような安売りをしてまでシェアをとろうということは全く考えていない。当社は基本的には最初に目標となる原価を決めているので、黄色いロボット(協働型ではない従来の産業用ロボット)と原価率が異なることがないようにしている。

事業として長続きするためには適正な利益をいただきながら拡販することが重要だ。シェアありきではなく、あくまで市場で評価されてシェアが伸びていくという風に進めていきたい。

――ファナックの協働ロボットの特徴は何になるのでしょうか。

当社は安全性と信頼性について、長年黄色い産業用ロボットで培った評価がある。協働ロボットは、安全柵の中で使われる産業用ロボットと異なり、人と一緒に使われるので安全性を最重要視している。間違っても挟まれることがないよう、人がロボットに触れると停止する。お客様に試してもらうと「実際に軽い力で止まるんですね」と驚かれることが多い。

セールスと同行してニーズをつかむ

使いやすさという点でも、CRXシリーズはロボットの(動き方を指示する)教示操作盤やその中に組み込まれている操作ソフトウェアなどで、今までの産業用ロボットとは一線を画したものを提供できている。

従来の産業用ロボットは、動き方を指示する際に、ある程度のプログラミングの知識が必要とされており、導入のハードルが高かった。今回の協働ロボットでは、タブレット上でアイコンをドラッグ・アンド・ドロップすることで教示プログラムを作成できる。スマートフォンのような操作で視覚的にもわかりやすくしている。ロボットのアームを(人間が)直接持って教示するダイレクトティーチも軽い力でできる。

――「使いやすさはロボットの競争力のカギを握る」とかねて公言してきましたが、開発段階から工夫してきたのでしょうか。

設計者や開発者自身が実際に自分でロボットを操作し、どのようにするのが一番使いやすいのかということを主体的に考えて開発した。開発者がセールスと一緒に顧客の元へ伺い、ダイレクトな声を聞き改良に生かしていることも当社の強みだ。従来の商品で努力していないわけではないが、CRXシリーズではより意識を高くもって開発にあたった。

ロボットの機構だけでなくソフトやモーターも重要だった。そのため、ロボット機構開発研究所、ソフト開発研究所だけでなく、ハードウェア研究所、サーボ研究所なども一体となって開発に取り組んだ。使いやすさはまだまだ良くなると思うので、今後もソフトを中心に改良を重ねていきたい。

――具体的にはどのようにソフト改良をしていきますか。

動作経路を自動生成する機能を(今年)10月から追加する。自社で開発しているビジョン(画像認識)センサーを使い、ロボットがリアルな世界を認識し(周辺の設備に)ぶつからないように動作経路を自動生成することで、教示を最小限にできる。ロボットハンドや周辺装置との接続性を高めるなどして、ロボットの立ち上げを容易にしていくことが重要だ。

予防保全の改良も進める。ゼロダウンタイム(ZDT)という、ロボットをネットワークで接続し何か怪しい情報があれば検出し、壊れる前にアラートを出し修理補修を行うことで稼働率を向上させるシステムを以前から販売している。CRXシリーズはすでにZDTの一部機能に対応しているが、残りの機能についても遠くない時期に対応したい。

――協働ロボットの成長性をどう見込んでいますか。

これから先、すべてのロボットが協働ロボットに切り替わるかというとそうではない。用途によって使い分けられ、安全柵の中で使う産業用ロボットも重要な役割を持ち続けると思う。

黄色いロボットが減るわけではなく、黄色いロボットも増えながら、協働ロボットもさらに増えていく。以前から当社の稲葉善治会長が、「将来的にはロボットのうち半分が協働ロボットになる」と言っており、そのあたりを目指していきたいと思っている。工場現場の自動化は長い時間をかけて進展していくもので、5年後に半分になるかというとそれほど早くないだろう。

ロボットの需要は伸びていく

――米中貿易摩擦やコロナの影響で設備投資全体で見ると低迷が続いています。ロボット全般の需要は今後どのように推移していきますか。

ロボットに対する引き合いもコロナ前に比べれば様子見感があるのは確かだ。ただ、ほかの設備産業に比べればロボットに対する需要の減少はだいぶ限定されている。

自動化の要求はコロナ前からだんだん高まっていたし、コロナによって自動化が重要だという考えはむしろ高まっている。ロボットの需要は少しずつ戻ってきて今後は伸びていくのではないかと思う。

全体的な設備投資に対しては、当面はコロナの第二波、第三波の影響もあるので様子見が続くと考えられ、米中貿易摩擦の影響なども注視する必要がある。年単位、クオーター単位で一喜一憂しても仕方がない。中長期的には工場の自動化、ロボット化は伸びていく産業なので、その中で長期にわたって顧客に貢献していくために、経費を徹底的に抑えながら、先を見据えて商品の開発とそれを生産して供給できる体制作りを強化していくことが大切だ。

 

 

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